浮気調査コラム

墓参りデート浮気調査②(全2回)

浮気で墓参り

依頼者である奥様が取付けていたGPSの位置情報を追ってきたところ、対象車両を発見したのは東京府中市内のとある墓地。対象者である夫は、不倫相手の女と墓掃除をし、手を合わせていた。浮気や不倫で墓参りとは驚きである。

前回のコラム墓参りデート浮気調査①の続き

墓の特定が出来ない

まずは、夫と不倫女が掃除をしてお参りしている墓の特定が重要である。
周囲には誰一人おらず、付近に停まっている車も対象車両と私が乗ったままの調査用車両のみである。
この状況で私が車から出て行けば、明らかに不自然、そして不審である。
あくまで調査員が私一人である為だ。複数いれば、当然車から出て近づくに決まっているが。

私の位置から夫と不倫女がいる地点までの距離は目測30メートル位である。調査用車両の中から望遠撮影することしか出来ない。
夫や不倫女を撮影すると、手前には「古畑(仮名)家乃墓」、奥に「今泉(仮名)家乃墓」が映る。遠近感では、明らかに手前の「古畑家乃墓」に手を合わせているようである。今は、それ以上の確認ができない。

10分程すると、二人は墓掃除のバケツ等を元の位置に戻し、対象車両に乗車した。
私も直ぐに車両尾行を開始したので、墓石の詳しい位置関係等の確認は出来ていない。

依頼者への速報

その後、二人は府中市内の飲食店に入った。この後の行動も分からないし、ワンオペ調査なのに店内に入って気付かれるリスクを取りたくなかったので、駐車場で張込むことにした。その間に依頼者にLineで簡単に報告したところ、電話がかかってきた。
お怒りである。。。
「そんな所のお墓、ウチとは関係ありません。私、知りません。その馬鹿女の墓参りにまで、ウチの旦那付いて行ったんですか!?もう許せない!!絶対証拠掴んでください。」
概略こんな感じであったが、下手すれば殺しそうな勢いである。
「まあ、奥さん、お気持ちは分かりますが、弁護士に依頼して慰謝料請求するなら、相手に証拠隠滅や言い訳を考えられても困るので、今は気付いていないフリをして耐えてください。冷静にならないと損しますから、今は我慢してください。」
とお伝えして、調査を継続することにした。

不貞の事実確認と証拠保全

その後、夫と不倫女は23区内某所のラブホテルへ入った。調査員は最後まで私一人であったが、ラブホテルの出入はどちらもしっかり撮影できた。
しかし、ラブホテルを出た後、二人が乗る車を車両尾行していたところ、某駅付近の信号待ちの際に助手席から不倫女が降りてしまった。
調査員が他にいれば不倫女を尾行してその自宅を特定するのだが、調査員は私一人であり、調査用車両で信号待ち停車中状況では、さすがにどうしようもない。
残念であるが、女の自宅特定は次の機会である。
ちなみに、このような状況であっても、直近に駐車できる場所があれば車両を一旦捨て、徒歩で不倫女を尾行する。今回は、白枠も駐車場も付近になく、とても路上駐車を出来る状況ではなかった。

墓特定の為の再現見分

後日、依頼者である奥様にお会いして、報告書を渡しながら打合せをした。墓地での写真を見ながら、不倫女の苗字を特定したいという話になったのだが、写真だとどうにも判然としない。
写真に写る「古畑家乃墓」に手を合わせているようだが、特に望遠撮影をした場合は遠近感を錯覚することが多い。
そこで、私が他の調査員をもう1名連れて、墓地で再現見分をすることにした。

普通の浮気調査や一般的な探偵業者では、見分(いわゆる現場検証のようなもの)まで実施することはまずないが、私は過去に刑事事件を取扱ってきたこともあり、また法律事務所で犯罪被害者救済の為の調査にも従事していた関係で、数多くの実況見分を実施してきた。
例えば浮気調査で、ラブホテルへの出入が完璧には撮影できず、普通の探偵業者であれば失敗として扱う状況であっても、当事務所では、前後の対象者の行動に加えて、このような見分等を組み合わせることにより、裁判でも認定されるレベルで不貞行為の証拠とすることができる。

今回は、再現見分によって不貞行為の証拠をとれるわけではないが、二人が手を合わせていた墓石の特定を目的とする。
本当ならば、夫の位置を再現する調査員と不倫女の位置を再現する調査員、そしてそれを撮影する調査員の3名体制で実施したいが、調査費用節約の為に私と女性調査員の2名体制とした。

再現見分の実施

私と女性調査員は、墓地に到着するとまずは前回私がこの場所に来た際と同じ位置に調査用車両を停めた。
次に私と女性調査員は通話状態にして、私が「古畑家乃墓」と「今泉家乃墓」の前に行き、女性調査員には車内からカメラのレンズを覗いてもらい、前回私が撮影した写真(対象者である夫と不倫女が墓石に手を合わせている写真)を見比べてもらった。
すると、写真では対象者らが「古畑家乃墓」に手を合わせているように見えるが、実際に再現してみると「今泉家乃墓」に手を合わせていたことげ明らかになってきた。
更に、今度は私と女性調査員が入れ替わり、女性調査員が不倫女の位置を再現してみた。
このように現場見分を実施してみると、実際の墓石の位置やその周りの通路の位置関係からしても、あの日、夫と不倫女が手を合わせていた墓石は、間違いなく「今泉家乃墓」であることが判明した。ちなみに「古畑家乃墓」に手を合わせようとすると、墓石と通路との位置関係からして、そもそも夫や不倫女が映った写真を撮影することが絶対に出来ないことも判明した。

ちなみに、不倫女と「今泉」という苗字がどう繋がり、その後の慰謝料請求の際に弁護士がどう利用したのかについては、守秘義務の関係上ここに記せないのが残念であるが、この再現見分が役にたったことは間違いなかった。

こうして再現見分を実施することで、ただ撮影しただけでは分からない真実が判明することもある。
尾行と張込みをすればなんでも判明するわけでなく、知恵を使ってあらゆる手段を用いて真実を探求することで、無駄な費用を省き、精度の高い調査結果を得ることが出来るのは、浮気調査も例外ではないことを是非知っておいていただきたい。

※本コラムにおいて当事務所の取扱い事例を紹介している場合は、事実を脚色することなく記載していますが、当事者の特定等を避ける為、調査事実を歪曲しない範囲で設定(関係者の職業や道路、建物の位置関係等)を変更しています。また、掲載にあたり、必要に応じて依頼者の承諾を得ています。