東京の浮気調査で安い探偵業者の実態を考える

浮気調査の依頼をお考えの場合、調査費用を安く抑えたいのは当然のことです。東京やその周辺は探偵業者の数が非常に多いので、料金はまさにピンキリですが、大体どこの探偵業者でも、調査員１名１時間当たりの金額を料金として表示していることが多いようです。
しかし、その１時間幾らの金額だけを信じて依頼してしまうのはちょっと危険です。
このページでは、調査費用が安い業者の本当の理由を紹介してまいります。

東京都の浮気調査の料金相場

東京都内の探偵業者に対するアンケート調査の結果というデータがあるのですが、それを調査員１名１時間当たりに直すと
・　　５，０００円以上　７，５００円未満　２４％
・　　７，５００円以上１０，０００円未満　２８％
・　１０，０００円以上１２，５００円未満　３６％
ということになります。
この他、調査用車両の費用として１日１台当たり１０，０００円から２０，０００円位が相場のようです。
各探偵業者があらゆる料金設定をしているので一概にはいえませんが、当事務所が知る限り、調査員１名１時間当たり８，０００円～１０，０００円程度が実質的な平均額といえるでしょう。

「安いから悪い」とは限らないが・・・

ではもし、調査員１名１時間当たり５，０００円や３，０００円という業者があった場合、どう思いますか？東京の浮気調査の料金相場に比べたら、明らかに安いのは事実です。
これらの低価格な探偵業者のホームページをご覧になると、
「これは安い！ここにしよう！」
と思う方がいらっしゃる一方、いくつかの探偵業者のサイトをご覧になり、少しでも料金相場をお調べになっていれば
「安すぎて、何だか怪しいなあ」
と思って逆に依頼を避けてしまう方もいらっしゃいます。

まず「安かろう悪かろう」とは限らないことは事実です。安くてもしっかり調査をしてくれる探偵業者があるのは事実です。
その一方で、単なる悪質業者であったり、ウェブサイトに表示された料金は表面上安いけど、計算してみると事実上の単価は結局相場以上になっているケースも多々あります。

浮気調査の料金の決め方

それでは、どのように優良探偵業者を選べば良いのかを考えていきましょう。
これは、探偵業者側の立場で考えてみると少し簡単になります。
探偵業者も民間企業である限り利益追求はします。１円も儲からないのに、暑さ寒さの中で張込み等するわけがありません。ちなみに、探偵業者が「特定非営利活動法人（ＮＰＯ法人）」や「財団法人」「社団法人」等の法人格であったとしても、それは同じです。

まずは、探偵業者が浮気調査の依頼を受けるに当たり、どのような経費がかかるのかを考えてみます。

浮気調査に直接的にかかる人件費

①尾行、張込みの人件費
尾行や張込みをするのが調査員（探偵）＝人である以上、その分の人件費は必ずかかります。
例えば、年収６００万円の調査員（探偵）がいたとしましょう。この調査員の時間給は、分かりやすいように単純に計算をすると、１時間当たり約３，０００円ということになります。
（年収６００万円÷１２ヵ月÷２１日（平均月間労働日数）÷８時間（１日の労働時間）≒２，９７６円）
また、この調査員が正社員か業務委託かにもよりますが、実際には、これに超過手当や深夜割増、更には社会保険料や通勤手当もかかってくるので、３，０００円で済むわけがありません。

なお、年収６００万円が高いか安いかは人それぞれの考えだとは思いますが、探偵は、浮気をしている対象者の時間に合わせて、昼夜を問わず悪天候や極寒の中でも外で立ち尽くすことも日常です。それを考えれば、さすがに年収３００～４００万円ではやっていられませんし、あまりに低年収の探偵は、むしろその状況に疑問を感じていない時点で能力を疑わざるを得ません。

②現場までの移動時間
調査の開始場所や終了場所が東京やその周辺であれば、大半の探偵業者では、移動時間にかかる料金は発生しないでしょう。（遠方の場合には「出張費」等がかかることもありますし、近場であっても交通費だけは発生するというケースはあります。）
しかし、調査員の人件費という視点でみれば、往復時間についてもかかっているのは当然です。勿論、雇用形態によっては支払われていない場合もありますが、そういう場合は、調査時間（上記「①尾行、張込みの人件費」）に係る時給自体がもっと高いはずです。そうでなければ、結局は年収が低いのと同じことになってしまいます。

③報告書作成の人件費
尾行や張込みが終わり、浮気の証拠を撮影できたとしても、それを報告書にまとめたり要点箇所を編集してＤＶＤにダビングしたりといった事務仕事があります。
当然ですが、これらの作業にも人の手がかかっているのです。
例えば調査員３名で尾行や張込みをしたとして、報告書を作成するのはその内一人で良いでしょうし、かかる時間も調査時間（尾行や張込みの時間）と同じだけ必要というわけではありませんが、これらの分も上乗せしなければなりません。

人件費のまとめ

以上を踏まえると、「①尾行、張込みの人件費」に記した直接的にかかる人件費だけでも調査員１名１時間あたり３，０００円以上かかることになり、「②現場までの移動時間」や「③報告書作成の人件費」等を考慮したうえで尾行、張込みの調査費用を計算すると、最低でも調査員１名１時間当たり４，０００～５，０００円以上は頂かないと単なる赤字になってしまいます。

広告関係費

④ウェブサイトの維持
「浮気調査」の競合が非常に多い東京の探偵業者は、当然のことながらその大半がｗｅｂサイト（ホームページ）をもっています。ウェブサイトは、一度作成すれば良いというものではありません。
日々、情報を更新し、しかもＧｏｏｇｌｅのアルゴリズムにマッチするようにある程度考えられた記事を書かないと、皆さんに検索してもらっても表示すらされなくなってしまうのです。これがいわゆるＳＥＯ対策のことです。
皆さんに見て頂く為に、内部の広報担当職員であったり、外部の委託業者が日々必要な情報更新をしており、その人件費や業者への委託費用がかかっています。

⑤広告費
そして何より、浮気調査でお悩みのより多くの方に見て頂けるよう、広告費がかかっています。
広告費も、ｇｏｏｇｌｅへ支払うリスティング広告の費用であったり、業者によってはアフィリエイト広告、広告会社への外注費等とその額もまさにピンキリなのですが、一般的に、これらインターネット広告の中でも「探偵」や「浮気調査」というキーワードには、「美容整形」等と並んで極めて高額な広告費がかかっています。

広告関係費のまとめ

各探偵業者の努力によりその金額が随分と変わってくるので一概にはいえませんが、依頼者の皆様が支払う調査費用の内、それなりの割合がこの広告費に使われてしまっているのです。

探偵業者の立場からすれば、この膨大な広告費をも調査料金に含めなければなりません。

依頼者へ提示する料金

浮気調査を実施している探偵業者は、１件の依頼獲得と探偵業務遂行の為にこれらの経費をかけているのです。加えて、依頼の有無とは全く無関係にかかる家賃や光熱費、電話対応や経理担当等の内勤者の人件費を考慮しなければなりません。

そのように考えると、調査員１名１時間当り最低でも６，０００円位の料金を頂戴しないと、とても成り立たない商売ということになってきます。

安い浮気調査が成り立つ理由

以上の考え方から、ひとまず【調査員１名１時間６，０００円以下の探偵業者を安い業者】と仮定した場合、その安さの理由は何なのでしょう。

広告費がほぼ皆無の探偵業者

極少数ですが、ｗｅｂサイトは全く持っていない又は社名を検索しても出てこない探偵業者様もいます。
これらの探偵業者は、
・複数の弁護士等と太いパイプがあり、紹介のみで営業をしている
　（当事務所も、昨年までこのタイプの探偵業者でした。）
・大手探偵業者の下請専門
・本業は別にあるけど、たまたま知人の紹介で依頼でもあれば片手間やる
といったケースが考えれます。また、
・２０年以上前から時が止まったまま、ポスティング広告のみで集客を狙っている探偵業者さん
もいるかもしれません。
もし、これらの探偵業者に依頼をするなら、本当に安く依頼をすることができるでしょう。

単に人件費を異常に安く抑えている業者等

単に「悪質」とまではいいませんが、２０歳代の若者ばかりを月給２０万円程度（しかも週休１日以下）で雇っている探偵業者があることも事実です。
先程と同じ計算方法をすると、高くても時給１，１９０円位でしょうか。１ヵ月を３１日で計算すると、東京都の最低賃金以下の場合もあります。
労働基準法に違反しているか否かはともかく、このような低賃金でも平気で働いている調査員や、若すぎて世間知らずの調査員にどこまでまともな調査ができるでしょうか。
浮気をしている夫が、いつもファミリーレストランで不倫相手と会っているならそれでも結構です。しかし、シティホテルで逢瀬を重ねているような場合、スーツの着方も分からない若者が果たしてまともに尾行できるでしょうか。
確かに依頼者が支払う調査費用の調査員１名１時間当たりは安くなります。しかし、調査期間が長期に渡り（調査日数（時間）が増える）、結果的に同じ調査結果を得るのに支払う総額が高くなることは明らかですね。
これでは元も子もないです。

安いように装い、本当は安くない探偵業者

そして、やはり考えなければならないのが、一見安いように見えて実は全然安くない探偵業者のことです。
それら探偵業者の手口をほんの一例挙げてみましょう。
・　確かに調査員１名１時間当たり５，０００円だが、その他に基本料金として毎回何万円か発生する（第一印象の「安い」とは違いますが、基本料金が表示されているのであれば悪質ではありません。）
・　調査員１名１時間６，０００円と表記されていたが、実際に訪問してみると「調査は常に３名で実施」（＝１時間１８，０００円）という契約
（しかも、依頼者に嘘をついており実際の調査員は１～２名
⇒実態は調査員１名１時間９，０００円ということ）
・　どこに住んでいるかも分からない調査員個人の自宅から東京の調査開始場所までの移動時間や交通費（「実費」という名目）まで請求
・　１回当たりの最低調査時間が設定されており、早く終わっても全く返金がない
・　単なるボッタくり違法詐欺業者（まるで調査をしていないのに、適当な写真だけ撮って対象者が動かなかったと虚偽報告をしてくる業者）

いかがでしょう。
前者の広告費がほぼ皆無の業者を探し当てれば、調査員１名１時間６，０００円以下の安い業者であったとしても依頼する価値があるでしょう。
しかし、実際にはそのような業者は、弁護士や知人の紹介でもなければ探し当てる方法がないはずです。（※紹介であっても、それなりの事務所を構え広告を打っていれば、結局極端に安いことはないです。）
インターネットで探偵業者を探している限り、極端に安くて優良な探偵業者にたどり着けるわけありません。優良の定義にもよりますが・・・（素人同然の月給１８万円の探偵ばかりを雇用している業者もあります。）
そして浮気調査を依頼しようという一般の方は、ほとんどの場合においてインターネットにより探偵業者を探しています。

浮気調査依頼時に最低限確認するべき事項

お分かり頂けたかと思いますが、格安で優良探偵業者に依頼しようとするのは無理があると思っておくのが無難です。探偵に限らず、安いには理由があるはずです。そして、その理由に納得できない、その理由が嘘かもしれない場合は、契約を控えるべきです。
最後に、契約時に最低限確認すべき事項を挙げておきます。

調査員１名１時間“以外の”費用

着手金や基本料金等、名目は色々です。また、基本料金は毎日かかる場合もあります。
これらの点をよく確認しましょう。

最低時間のシバリ

１日（１回）当たりの最低時間を設定されるケースもあります。そして最低時間に満たなかった場合にも、全く返金されないという契約がほとんどです。
例えば調査員１名１時間６，０００円、最低時間が５時間の契約だとして、実際の浮気調査が２時間で終わった場合でも結局５時間分の費用が発生するのであれば、依頼者にとっての負担は、調査員１名１時間当たり１５，０００円という計算になります。
これでは全然安くないですよね。
　

キャンセル料

夫の浮気調査を予定していたが直前になって夫の行動予定が判明し、明らかに調査の必要が無くなった場合等のキャンセル料規程を確認してください（名目は、「違約金」「解約金」等の場合もあります。）。
探偵業者側としては、その依頼の為に予定を空けて準備していたのに、直前にキャンセルとなればその時間に他の仕事を急遽入れることもそうそう出来ないわけで、キャンセル料が発生すること自体が悪いわけではありません。
ただし、「○○時間前以降のキャンセルは全額依頼者の負担」等の契約であれば、ちょっと高いと思いませんか。まず、探偵は現場にも行かず、辛い張込みや技術のいる尾行を一切していないのに、それらをしたのと同じように費用が発生するのはおかしいですよね。
　

「安い」「格安」といった業者と契約する際の注意事項はこんなところでしょうか。
探偵業者と契約を締結するに当たって注意すべきことは他にも沢山ありますので、それについては又別の記事でお話します。