元同級生同士の浮気調査⑤（全７回）・・・ＧＰＳに動きあり

前回の調査では、対象者である夫がファミリーレストランで女と逢い、その後二人は、依頼者である奥様も日常的に使用しているミニバンでカーセックスの有名スポットへ移動し、そこで３時間近く車内に滞在していた。

失尾

対象者である夫と別れた女が乗った紺色小型ＳＵＶについては、交差点の信号の変わり目で見失ってしまった。これを「失尾（しつび）」という。似た言葉で「放尾（ほうび）」というのもあるが、こちらは意図的に追いかけることを止めることであり、その理由は気付かれない為であったり、警察の追跡時であれば交通事故防止の為であったりもする。
失尾や放尾については、また別の機会に詳しく説明する。

依頼者への報告と今後の調査

後日、依頼者である奥様とお会いして前回の調査結果について詳しく報告をした。
既に私からのＬＩＮＥで概要を知っていた奥様は、あの日の夜勤明け、予定どおり夫が職場に迎えに来たのだが、数時間前まで夫が他の女と逢瀬していたミニバンに乗ることには抵抗があったそうだ。それは、そうだろう。しかし、そこで乗車を拒否するわけにもいかず、平静を装って夫の運転で帰宅したらしい。
しかし奥様も一方では、当事務所に調査依頼をしてからある程度の覚悟をしていたようであり、当初は躊躇していたミニバン車内のボイスレコーダー隠し置きについても、やっておけば良かったかもと後悔していた。が、その時その時の気持ちも大切であるので、私は「奥様のお気持ちとして、もし、ボイレコを車内に置いておくことに抵抗がなくなったのなら、次回怪しい時にやってみてはいかがですか。」とだけお伝えした。

ところで、夫と逢っていたこの女について、奥様は初めて見る顔だという。もし同窓会を機に不倫が始まったのであれば、夫の卒業アルバム等を見ることが出来ないかを聞いてみたが、どこにあるのかも分からないとのことであった。

ひとまず次回の調査では、不倫の証拠収集は勿論のこと、女の住居や氏名の特定も必要となる。怪しい日が予め分かり、前もって調査日時を確定できる場合や、急遽であっても当事務所に余剰人員があれば、調査員を２～３名に増員することとした。

そして、女の人定（住居、氏名等）がはっきりすれば、その家族関係の調査も視野に入れようということになった。

ミニバンの怪しい動き

２週間後の月曜日午前９時３０分過ぎ、依頼者である奥様から電話が入り
　「今、ＧＰＳが動いたので見ていたら、また葛西の方へ向かってるんです。どなたか行ってもらえませんか。」
とのことだった。この日私は別の事案の下見に出ていたが、葛西付近ならば首都高を使って４０分位で着けそうである。ただし、他に動ける調査員はいないので、又も私一人での調査になる。

私は電話を切り、首都高速の最寄りの入口である三軒茶屋へ向かった。途中、対象車両であるミニバンに付けたＧＰＳの位置情報を確認すると、９時２８分から葛西周辺で停止したまま動いていないようだ。

ミニバンを発見

首都高速を走り葛西インターを降りて、１０時２０分頃、ＧＰＳが示す位置付近に到着すると、葛西橋通りから住宅街の道路に少し入った所のコインパーキングにミニバンが停まっていた。
外から見る限り車内に人はいない。ミニバンにもっと近づいて車内を確認したいところであるが、今到着したばかりで周囲の状況を把握していない。下手に近づいて、付近の住宅内から偶然に私の姿を見られたら元も子もない。

ＧＰＳに動きがあれば、私のスマホにも通知がくる設定になっている。１名での調査である為、この場は一旦離れて、周辺の検索を実施する。勿論、対象者である夫や不倫相手の女の姿をそう簡単に見つけられるとは思っていないが、女が乗っていた紺色の小型ＳＵＶが停まっているかもしれない。

検索したものの、付近の住宅にその小型ＳＵＶは見当たらない。この近くには、東京都江戸川区と千葉県浦安市との間を流れる旧江戸川に「妙見島」という小さな島が浮かんでいるのだが、その島の中にラブホテルが在る。一応、そのラブホテルの駐車場を確認したものの、小型ＳＵＶはやはり無い。
ちなみにこの妙見島は、東京２３区で唯一の自然島だそうだ。

仕方ないので、再びミニバンが停まっているコインパーキング周辺の住宅街を検索した後、私も調査用車両を同じコインパーキングに停め、動画を回しながらの張込み体制へ移行した。