ＰＴＡ保護者同士の不倫調査④（全10回）

月曜日から水曜日までの３日間、対象者である夫は確かに毎日小学校へ行っているし、不倫相手と疑われる美魔女もそこに出入していたことは確認できているが、不倫を疑う状況はなかった。
しかし、浮気調査４日目となる木曜日、とうとう尻尾を出し始めた。

夫が外出

木曜日も午前８時からの調査であり、私は一人で対象者の自宅兼店舗の建物を張込んでいた。
対象者である夫が店舗から出てきたのは午前１０時１７分である。手にはスマホを持っているが、カバン等は持っておらず、いつもと同じ様子である。
私もいつもと同様に調査用車両をコインパーキングに停めて、徒歩尾行を開始した。

今日はこれまでとは別の経路かと思った矢先、明らかに小学校とは別方向へ歩き始めた。勿論、買い物等の可能性もあるのだが、何となく後ろや周囲を見回すような素振りをしている。
午前１０時２６分、大通りの横断歩道を渡った所で信号停止中のタクシーに乗車した。幸い大通りの為、その２台後ろにも空車のタクシーが信号待ちをしており、私も慌ててそのタクシーを拾った。

タクシーでの尾行

対象者がタクシーに乗車した場合の尾行もなかなか面倒である。タクシーは目的地へ早く着く為に頻繁に車線変更をしたり右左折を繰返す場合も多く、更にバックミラーを頻繁に見る運転手さんも多いので、乗客である対象者に「後ろの車も一緒（お連れ様）ですか？」なんて聞かれてしまい、尾行に気付かれてしまうケースもある。今回は、対象者が一人乗車なので、さすがに向こうの運転手さんもタクシー２台の分乗とは思わないだろうし、そこまで気にする必要はないだろうが、いずれにせよ慎重な尾行が求められる。
私は自分が乗っている運転手さんに尾行中であることを伝え協力をお願いし、周囲の交通状況にも注意しながら、走行車線や速度、車間距離を細かに指示する。運転手さんは「尾行は初めて」と言っていたが、抜群の運転センスをお持ちの方だったので私も心強い。

鶯谷のラブホテルへ

対象者である夫が乗るタクシーは途中で誰かを乗せることもなく、台東区根岸付近までやって来た。私が乗っているタクシーの運転手さんも「鶯谷のラブホテルじゃないですかねえ。」と言いながら少し楽しそうに運転している。浮気だとして、この経路でこの場所まで来れば、確かに鶯谷のラブホ街が目的地だろう。

午前１１時前、タクシーは案の定「言問通り」の陸橋脇の側道に入り、「鶯谷駅前」交差点を過ぎた所で停車した。
私も運転手さんに運賃と気持ちばかりのチップを支払い、引続き夫を尾行した。
夫は直ぐ傍の細い道に入った。鶯谷駅の北口付近には数十ものラブホテルが正にひしめき合っており、道路幅も路地のように狭い。こちらも男一人での尾行なので注意は必要なのであるが、デリヘルを呼ぶ目的の男性客は珍しくないので、そこまで警戒することはない。

数十秒歩いた所のラブホテル手前で、夫は一応後ろを振り返り、一人でホテル内へ入って行った。

依頼者へ即時報告

ひとまず私は依頼者である奥様に連絡をして、この状況を伝えた。奥様はショックという感じではなく、むしろ調査依頼をした自分の判断に満足している様子であり、徹底的に調べ上げて夫と不倫相手を懲らしめてやろうという強い意志が感じられた。
調査に動きが出た為、奥様も人員の増員を要望されたが、あいにくこの日は他の調査員が別の現場に出ており、鶯谷へ１時間以内に来れる協力会社も都合がつかなった。

ラブホテルの張込み

私はラブホテル出入口を監視する張込みを３０分程続けたが、カップルが２組出てきた以外、例えばデリヘル嬢っぽい女が入ることもなかった。すると考えられるのは、デリヘル嬢の到着に時間がかかっているか、不倫相手が先に入っていたかである。
狭い路地ばかりのラブホテル街ではあるが、幸いこのホテルの出入を監視できる位置にはコインパーキングが在る。夫がラブホテルに入って３０分以上経っており、この後に不倫相手が入る可能性は低いと考え、私は歩いて数分の所に在るカーシェアリング車両を借りてきて、この先は車内からの張込み体制へ移行した。

１２時前にデリヘル嬢っぽい女が１人で入ったが、今のところそれ以外にはカップルの出入があるだけであり、対象者である夫と関連が疑われる女の出入はない。

果たして夫の相手は誰なのか？デリヘルを呼んでのただの遊びなのか、それとも美魔女と一緒に出てくるのか？気になって仕方ない。