浮気調査コラム

喫茶店店長浮気調査④(全4回)

依頼者の要望により、徹夜の張込みが確定した。
このマンションの前の道路は、夜間は交通量が少なく、道路の反対側の脇道に車を停めていてもマンションの出入が確認できる。よし、今夜はこの脇道に停めたまま、朝まで夫とメンヘラ女が出てこなかったことを証明してやろう。

前回のコラム喫茶店店長浮気調査③の続き
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張込み開始

私とA調査員は、交代でトイレを済ませ、張込み用の食料を買い込み、配置についた。ちなみに、このような状況で6時間以上の張込みになることがほぼ明らかで、2名以上の体制であれば、よく言われるアンパンと牛乳ということなく、普通にガッツリした弁当とお茶を買い込む。

事件発生!?(浮気とは無関係)

我々が調査用車両で張込み中、日付が変わる直前の午後11時23分ころ、駅方向から年齢50歳前後のオバさん2人がこちらへ向かって歩いてくる。二人とも酒に酔ってご機嫌な様子であり、一人はなかなかの千鳥足である。直後、その後ろから二人乗りの原付バイクがオバさん達めがけて突っ込んで来る。ヤバい、事故る。と思った瞬間、並んでいたオバさん二人の丁度間にバイクが減速して割込んできた。いや、事故ではない、ひったくりだ。元保安警備員(今でいう万引きGメン)の私は、「とっさ」というより自動的に乗っていた調査用車両の助手席に手をかけ、現行犯逮捕するモードに気持ちが切替わる。すると、右側のオバサン、「何よー、びっくりしたじゃない、もう、アハハハハ。」と言って相変わらず酔ってフラつきながら、停止した原付バイクの運転手のヘルメットをバコっと叩いている。
運転手の兄ちゃんも、ヘラヘラ笑いながら、「あっ、すいません、テヘ」的な表情でペコペコ頭を下げている。そして原付バイクは走り去る。
なんだ、友達のお母さんでもからかったのか。あんな暴走族の風体で2ケツしている反抗期のガキでも、親世代の知り合いとコミュニケーションを取ろうとしているのか?ならば微笑ましいことか。
そんな思いでガキ共の原付を見送って1分もしないうちに、オバさん達もこちらへ近づいて歩いてくる。ガキのヘルメットを叩いていたオバさんは相変わらず千鳥足であるが、左側の比較的シラフな方の女性が、「もうぅぅ、本当に怖かったぁ・・・。殺されるかと思ったわよぉ。」と言っている。ん?あれ?これ、知り合いでも何でもない。やっぱりひったくり未遂事件じゃないか。気付いた時には後の祭り。被害はなかったものの、私達は原付のナンバーを確認すらしなかった。もっとも、この状況の更に奥にメンヘラ女のマンションがあり、そこへ向けて動画撮影しているので、色々参考になる状況が映っていることは間違いない。(※この件については、事案の性質上、残念ながらその後の取扱い状況を公開できない。)
探偵は、あらゆる時間、あらゆる場所において張込み等をしているので、時にはこういう事件に遭遇することもある。犯人に繋がる情報があれば、我々も積極的に警察に情報提供している。

二人仲良く外出

こんな風に、浮気調査とは無関係な風景を眺めながら(といっても、このひったくり未遂以外に、ほとんど人も通らないのであるが。)朝を迎えた。
マンションの正面玄関をバッチリ撮れる場所に、長時間車で張り込むことは状況的に出来ない。一方、朝日が昇って明るくなった路上に、長時間立張りするのも不審な状況である。我々はあたりをつけて、午前8時半から正面玄関を真正面から撮ることができる位置に調査用車両を配置し、張込むことにした。
時間的にはドンピシャの8時48分、マンションの正面玄関から夫とメンヘラ女が笑顔で出てきた。映像も写真もバッチリ撮れた。A調査員を運転席に残し、私は対象者らを後方から徒歩尾行した。SUVが停まっているコインパーキングに向かいつつ、歩きながらメンヘラ女が夫にキスする。これもバッチリ撮れた。浮気調査の観点からすれば、なかなかの成果である。
コインパーキングに到着した。二人とも当然のように駐車料金の精算機に向かわず、SUVに乗り込み、発進した。私は後ろからやってきたA調査員が運転する調査用車両に乗車し、尾行を開始した。

20分程度走行すると、スターバックスコーヒーに入った。昨夜のセブンイレブンでの買い物の量からすると、それが二人分の朝食なのか微妙である。だとすれば、スタバで二人仲良く朝食なのか。しかし、ドライブスルーの可能性もある。
対象者にきづかれてはお終いの我々としては、一旦放尾(わざと尾行を打切ること。)し、10分経っても出てこなければ店内に入り撮影することとした。
4分後、SUVはスターバックスコーヒーを出て、更に走行を始めた。ドライブスルーを利用したのであろう。我々も引続き尾行する。

某インターチェンジから高速道路に入った。そして、関東近県の大型サービスエリアに入った。これは、それなりに遠出の旅行である。
SUVから降りた夫とメンヘラ女は、それぞれトイレへ入って行った。そして先に出てきた夫は喫煙所で煙草を吸い、後から出てきたメンヘラ女も美味そうに煙草を吸っている。やっぱりか。本件の調査初日で、メンヘラ女が喫煙者であろうかと推測していたのが当たったのが、普通に嬉しかった。こんなレベルの推測、探偵でなくても出来ることであるが。

調査完了

この時点で依頼者である妻に連絡をし、これまでの調査状況と撮影済みの証拠について伝えた。
どうせ今日は帰ってこないことだけは確定しており、このまま追えば不倫旅行の証拠もとれることが確実であるが、調査費用のことを考慮し、この時点で調査を打切ることになった。

読者の皆さんからすれば、せっかくの確実なチャンスをなぜ逃すと思われかもしれないが、これまで短期間に、メンヘラ女の住居マンションに夫が単独で2回出入していたことに加え、前日はメンヘラ女と事実上一緒にそのマンションに入り、今朝一緒にそこを出てきたとことまで撮影できているのである。ここまで成果がある状況で、わざわざこの先の不倫旅行を引続き調査をして更に調査費用をかけたところで、損害賠償請求する金額が増えるということもなく、要するに費用対効果を考慮したものである。勿論、我々探偵業者としては、それで売上が上がるに越したことないが、依頼者にとって経済的利益がないのであれば、むしろ我々の方から費用の無駄遣いを抑えるようアドバイスしている。
(金銭的メリットが無いことを理解したうえで、それでも、どんな浮気をしているのか気になるから調べて欲しいという依頼者も結構いらっしゃる。その場合には、当事務所も喜んで調査を継続する。)

調査終了したので、私達も帰る前にこのサービスエリアで休憩をして、朝食をとった。既に調査は終わっているが、同じ飲食エリアで夫とメンヘラ女が楽しそうに食事をしていたので、ついでにその様子も撮影して後の報告書に添付しておいた。この位は、費用に関係なくサービスである。
そして、奴らの不倫旅行を見送り、我々は次のインターチェンジでUターンし、この事案の調査を終えた。

※本コラムにおいて当事務所の取扱い事例を紹介している場合は、事実を脚色することなく記載していますが、当事者の特定等を避ける為、調査事実を歪曲しない範囲で設定(関係者の職業や道路、建物の位置関係等)を変更しています。また、掲載にあたり、必要に応じて依頼者の承諾を得ています。