浮気調査を依頼するにあたり、知ってか知らずか探偵業者に違法行為を依頼してしまう方がいます。例えば、
- ・別居中の夫の自宅に忍び込んでカメラや盗聴器を仕掛けたい
- ・浮気相手を特定出来たらその相手に脅迫的内容の手紙を出したい
- ・社内不倫だった場合に、会社中に不倫の事実を分かるようにしたい
というような依頼です。
これらは、住居侵入罪(刑法130条前段)、脅迫罪(同法222条1項)、名誉毀損罪(刑法230条1項)等に該当し得る行為です。上記の依頼を遂行した探偵業者が処罰されることはもちろんですが、依頼者も共犯(共同正犯、教唆犯又は幇助犯)として処罰される可能性があります。配偶者や浮気相手を許せないというお気持ちは十分に理解できますが、感情的になって違法行為を犯してしまえば、新たな人生を再スタートさせるチャンスを自ら潰すことになってしまいます。彼らへの制裁は慰謝料請求等の適法な方法によるべきです。
また、ごく少数ではありますが、違法行為を提案したり、証拠を得るために勝手に違法行為を行うというような探偵業者も存在します。
例えば、証拠撮影のために他人の住宅の敷地に侵入するといった行為です。このような行為は住居侵入罪にあたる上に、その住宅の所有者に知られれば依頼したあなたも巻き込んだトラブルに発展する可能性があります。したがって、違法行為を提案したり、どんな方法を使ってでも証拠を得るということを請け負うような探偵への依頼は避けるべきです。
さらにいえば、このようなコンプライアンス意識が低い業者は、費用のごまかしを行うことも多いため、その意味でもかかわらないほうが無難です。
例えば、実際は2名で行った調査を3、4名と水増ししたり、調査時間をごまかして長時間調査を行ったことにし、その分の調査料を請求するという悪質な手口があります。
上記のような探偵による被害に遭わないようにするためには、相談時に費用の総額や調査方針の概要をしっかりと確認することが重要です。怪しい探偵業者は費用の説明をごまかしたり、調査人員数を曖昧にしたりすることが多いです。また、探偵業者は、探偵業法に則った書式による契約書や重要事項説明書の取り交わしを義務付けられているのですが、そういった書類の取り交わしを省略しようとする業者も違法業者である可能性が高いといえます。
※本コラムにおいて当事務所の取扱い事例を紹介している場合は、事実を脚色することなく記載していますが、当事者の特定等を避ける為、調査事実を歪曲しない範囲で設定(関係者の職業や道路、建物の位置関係等)を変更しています。また、掲載にあたり、必要に応じて依頼者の承諾を得ています。