女が現れたが・・・
18時42分、夫の前に1人の女(以下、「A子」とする)が現れた。東京ではコロナの感染者数が1日1万人を超えようとしているこの時期に顎マスク状態での登場である。年齢は20代後半、明るい髪色、派手な服装、化粧とネイルで到底会社勤めには見えない。なかなかの美人であるが、やや崩れた印象なのでキャバ嬢というよりはデリヘル嬢かパパ活女かといった様子。二人は初対面ではなさそうである。親しげとまではいかないが、何度か会ったことがある仲ではなかろうか。
なぜか二人はゲオ前から移動しない。調査員の1名はゲオに一度入店し、状況を探る。通りすがりにA子が「あとちょっとって言ってるんだけどー」と話していたことから、あと一人誰かが来るようだ。状況がよく分からなくなってきた。
もう一人の女が登場
18時49分、もう一人の女(以下、「B子」とする)が現れた。年齢はA子と同じくらい、服装は黒のスーツで髪も黒、会社帰り風である。マスクをしているので目元しか分からないが、かわいらしい印象である。A子が親しげに手を振って迎えたので二人は友達なのだろう。
三人はゲオ前で立ち話をしている。夫とB子は初対面のようである。夫の話をB子はやや緊張したような面持ちで聞いている。3分間ほど話していたが、A子が二人を促すような仕草をし、それから三人は駅の反対方向に歩き出す。その先には北口のラブホテル街がある。いや、しかしまだホテルに入ると決まったわけではない。対象は三人であるから、我々はいつも以上に慎重を期して尾行を再開する。
18時57分、三人は池袋駅北口のドン・キホーテに入店した。出入り口は一箇所、店内を追いかけ回すのはリスクが高いので我々は入口で張り込む。
19時20分、三人はドン・キホーテを後にする。そして、そこから徒歩2分の割ときれいめなラブホテルに入っていった。
これは憶測でしかないが、ラブホテルに入る直前にドン・キホーテに寄って買うものといえば、コスプレ衣装かアダルトグッズしか思いつかない。そうだとすると、いつものことだが人は見かけによらないと改めて思わされる。
あんな生真面目な印象の夫が帰宅前に一回り以上年下の女二人と待ち合わせし、その後のお楽しみのためにアダルトグッズなどを買い込んでラブホテルに入っていったのだ。
ラブホテル前での張り込み
我々調査員は、その様子を動画に収め、当該ラブホテルの料金システムを調べながら張り込みを開始する。気温は3度、風もあり、かなり厳しい寒さだ。それに加え、ここは立ち止まって長時間張り込むには目立ち過ぎる場所であり、とても楽な張り込みとはいえない。
料金システムからおよそ3時間で出てくるであろうと推測しつつ、三人の関係性について思いを馳せる。
当方が考えた関係性はこうだ。
まずA子と夫は出会い系サイトで知り合い、援助交際目的で何度か会っていた。しかし、それでは満足できなくなった夫がA子に友人の紹介を頼み、それで本日B子を交えて三人で会うことになった・・・。
しかし、この推理には問題がある。依頼者から聞き取った情報によれば、夫の月の小遣いは5万円。援助交際の相場はコロナで売り手が飽和状態にあることから下落傾向にあるらしいが、それでも1回2万円はかかる。その相手が二人となれば、最低4万、相手の容姿のレベルからすればおそらくもっと必要だろう。つまり、夫の経済状況からすれば、援助交際で3Pなどと大それたことをできるわけがないのだ。
考えてみても答えは出ない。22時5分、ようやく三人が並んで出てきた。夫は左右のA子B子と手を繋いでおり、楽しげにしている。その様子を写真に収め、本日の調査は終了とする。なにやら単なる浮気よりも後味が悪い。
※本コラムにおいて当事務所の取扱い事例を紹介している場合は、事実を脚色することなく記載していますが、当事者の特定等を避ける為、調査事実を歪曲しない範囲で設定(関係者の職業や道路、建物の位置関係等)を変更しています。また、掲載にあたり、必要に応じて依頼者の承諾を得ています。